安心安全を守るワンランク上の“おもてなし警備”

STAFF STORY #7

小倉 大助さん シンテイ警備

Mar 7,2025

施設内で起こる異変をいち早く察知し、お客さまの安心安全を守る警備員。もちろん自ら商品を販売することはありませんが、陰ながらショッピング体験の向上に貢献する大切な存在です。御殿場プレミアム・アウトレットで働く人の、知られざる素顔にフォーカスする「STAFF STORY」。今回の特集では“接客”に対して並々ならぬ情熱をもつ警備スタッフを紹介します。

キッカケは幕末の武士

「この仕事を始めて思ったのは、私の接し方次第でお客さまの表情が変わるということ。満面の笑みを見せてくださると、ものすごく嬉しい気持ちになります」

降りしきる雨をものともせず、笑顔で施設内を巡回するシンテイ警備の小倉大助(おぐら だいすけ)さん。警備員の道を志したのには、ちょっとユニークな事情がありました。

「私の祖父が武士の家柄で、いわゆる“ボンボン育ち”だったのですが、最後の職に選んだのが警備という仕事でした。祖父がなぜ、およそ似つかわしくない警備の仕事を亡くなるまでやっていたのか、ずっと気になっていました」

小倉さんによると、遠い先祖が幕末の動乱に活躍した武士・山岡鉄舟(やまおか てっしゅう)。勝海舟や高橋泥舟と並んで幕末三舟(ばくまつさんしゅう)と称され、西郷隆盛と渡り合い江戸城無血開城を実現したとされる人物です。そんな武士の家系で育った祖父が選んだ仕事への興味こそが、警備員になったキッカケのひとつだといいます。

「おじいちゃんが言っていたことなので、本当に山岡鉄舟がご先祖様かどうかは分かりませんが、たしかに親族は武家屋敷のような囲炉裏がある大きい家に住んでいました。お坊っちゃん育ちの祖父が飛び込んだのは一体どんな世界なのか、彼にとってどんな意味があったのか、身をもって確認したいと思ったことが、警備員の道を志した理由です」

粉骨砕身の歩くホスピタリティ

小倉さんの仕事は、場内の巡回警備やフロアマップの補充、落とし物対応、イベント開催時の規制など多岐に渡り、時にはテナントのスタッフから害虫の駆除をお願いされることもあるのだとか。中でもメインの巡回警備ではそのホスピタリティの高さゆえに、同僚から『歩き過ぎ!』と心配されるほど張り切ってしまうといいます。

「巡回では1日の勤務だけで最高5万5000歩ほど歩いたことがあります。毎日のように足がつっていましたが、この仕事を始めて1年半で20キロ痩せました。とにかく警備員が巡回する姿を見せることが皆様の安心につながると信じて歩いています。それから、御殿場プレミアム・アウトレットの方針もそうなのですが、私たちは警備員であると同時にコンシェルジュでもあるという思いでお客さまに接しています。お困りごとがあれば、いつでもサポートしますという気持ちです」

「目が合った方には必ず笑顔でご挨拶をして、何かあれば聞いてくださいねという気持ちで、できる限り全員に声をかけて歩きます。そうしていると、お客さまから『実はね、言わないで帰ろうと思ったんだけど、トイレが汚れていたの』など、密かに抱いていた不満を教えていただけることがあるんです。会話をすることで、施設の問題を埋もれさせずに済むこともあるんだなと、その時に学びました」

変化を恐れない“決断力”で切り開いた人生

年間で延べ1,100万人(※レジでの会計数)が利用する御殿場プレミアム・アウトレットには、海外からの観光客も多く訪れます。もともと静岡県で生まれ育った小倉さんですが、実はアメリカへの留学経験があるため英語での接客もお手の物。お客さまから『英語ができる人がいて助かりました』と感謝の言葉を受け取ることも少なくありません。

「高校3年生の受験シーズン、たまたま近所で留学についての説明会がありました。当時は英語の成績が10段階で3ぐらいでしたが、英語が喋れたらかっこいいかなと思いアメリカ留学を決めました。向こうの大学に通ううちに勉強にものすごく熱中してしまって、コンピューターサイエンスに関する授業はオールAでした。日本に戻ってからは携帯電話を作る会社に就職して、基地局のプログラミングやスマートフォンのソフトウェアを作る仕事に関わりました」

スキルを生かし、順調にステップアップを繰り返していた小倉さん。結婚後は奥さんと子供を静岡に残し東京で単身赴任していましたが、そこに思いがけない転機が訪れます。2019年以降猛威をふるった新型コロナウイルスの感染拡大により都道府県をまたぐ移動が制限され、離れて暮らす家族に会うことができなくなってしまったのです。

「約2年間、県をまたがずに一人で東京に住んで働いていたんですが、配属先の変更で愛知に転勤することになりました。東京から静岡を飛び越えて、今度は愛知に行ってしまうということで、家族にまた何年ぐらい会えなくなるんだろうと考えた時に、静岡に帰って仕事を探そうと決めたんです。パソコンに向き合うばかりではなく、直接お客さまの笑顔を見られる仕事がしたいと考えていたこともあり、もともと興味があった警備員に転職しました」

「警備の仕事は朝が早く夜が遅いので、妻がいつも私の代わりに家と家族を守ってくれています。そんな妻に少しでも休んでもらうために、お休みの日は朝早く起きて子供と一緒にご飯を作るようにしています。手のかかるものはできませんが、私が味噌汁や目玉焼きを作り、15歳の長男は麻婆豆腐を、9歳の次男はピザが大好きでチーズをいっぱいトッピングしてくれます。すごく高カロリーなので、味噌汁には野菜を多く入れています。いまは改めて、家族で過ごせることの喜びをかみしめています」

夢は世界を飛び回る“接客マスター”

プライベートでは何よりも家族との時間を大切にする父親として過ごし、仕事中はお客さまに接する“施設の顔”の一人として接客技術の向上につとめる小倉さん。最後に将来の展望について聞くと、壮大な夢を語ってくれました。

「勝手な夢なんですが、御殿場プレミアム・アウトレットを格段に飛び抜けたアウトレットにできたらいいな。そうなれるようにサポートしたいなと思っています」

「御殿場プレミアム・アウトレットではユニバーサル研修など色々な研修がスタッフ向けに開催されており、メインはテナントのスタッフさんだと思うのですが我々にも声をかけてくださるので、積極的に参加しています。私はあらゆる接客スキルを身につけて、いつかは世界の様々な商業施設を“接客マスター”として訪ねて、その技術を共有し、最高のカスタマーエクスペリエンスを届けたい。自分のカスタマーサービスに対する思いを、いろんな人に広めることができたら良いなと思っています」