

心ゆくまで言葉を交わす充実のひととき
STAFF STORY #6
小長井 勝也さん Marc Jacobs
Dec 6, 2024
“何を買うか”と同じくらい“誰から買うか”を大事にしたい。そんな風に考えたことはありませんか?御殿場プレミアム・アウトレットで働く人の、知られざる素顔にフォーカスする「STAFF STORY」。今回の特集では、一人ひとりの“お客さまとの時間を大切にし過ぎる”販売スタッフを紹介します。
“買う人”と“売る人”の垣根を越えて

「ただただ人が好きだから。本当にただお話がしたいだけなんですよ、シンプルに。お客さまにも、その時間を楽しんでもらえればいいなと思いながら接客をしています」
人懐っこい笑顔で、そう話してくれたのはMarc Jacobs(マーク ジェイコブス)の小長井 勝也(こながい かつや)さん。同ブランドの全アウトレット店舗の中でもトップクラスの販売実績を誇る、接客のプロフェッショナルです。
「アウトレットはお客さまが多いので、できるだけ多くの接客をすることも重視されますが、僕はお客さま一人ひとりとのコミュニケーションを大切にしています。1時間くらい話しますし、長ければ2〜3時間になることもあります。これだけ多くのお店があって、大勢のスタッフがいるのに、わざわざ僕に会いたいという気持ちを持ってもらえることが、すごく嬉しいじゃないですか。一人ひとりを大事にしたいと思っているので、店長に怒られても“ロング接客”は絶対に変えません」

環境が生んだ“コミュ力”モンスター

日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた小長井さん。最大の特徴は、誰とでもすぐに仲良くなれること。その類稀なるコミュニケーション能力は、生まれ育ったフィリピンの環境で培われました。

「僕が通っていた学校は、先輩後輩の上下関係というのがなくて“みんなフレンドリー!”という感じでした。放課後は、知らない人ばかりの中に飛び込んでストリートバスケをする毎日でした。フィリピンでは誰かの誕生日があると外で歌ったりするんですが、知らない人にもおめでとうと言ってパーティに混ざったりすることが結構ありました」
両親の意向で中学3年生の時に日本に移住したものの、当時は全く日本語を話すことができなかった小長井さん。少しでも早く言葉を覚えるために自らの意思で、あえてフィリピン人の生徒がいない一般の学校に通うことを決めましたが、突然の環境の変化に慣れるには時間がかかりました。
「最初はやっぱり名前を聞かれても“ありがとう”しか喋れなかったんです。同級生からは『フィリピンに帰れ』なんて言われたこともありますし、コミュニケーションが取れないことが辛かったです。人と接したいのに言葉が通じないことが悔しかったので一生懸命、日本語の勉強をしました。一方、そんな中でも助けていただいた恩人が学校には沢山います。担任の先生は朝の6時から1対1で日本語の勉強に付き合ってくれましたし、教頭先生も放課後に一緒に勉強してくれたり、先生方が本当にかわいがってくれました」

多くの人に支えられながら言葉の壁を乗り越えていった小長井さんは、中学校を卒業後アパレルショップを中心に、レストランやコンビニ、ベーカリーなど様々なアルバイトに挑戦。自ら学費を稼ぎながら定時制の高校に通い、充実した日々を過ごしました。
「親の負担を少なくしたいという気持ちがあったので、掛け持ちで色々なアルバイトをしていました。日本語がうまくなるには、やっぱり接客業が1番早いと思ったので、なるべく人と話す仕事を選びました。高校では、食堂でみんなとはしゃいだりして仲良くなって、投票で生徒会長やバスケ部のキャプテンにも選ばれてビックリしました」


仕事でも、プライベートでも“フレンドリー”
その後、幾度かの転職を経て御殿場プレミアム・アウトレットで働くことになった小長井さん。日本語・英語・タガログ語の3か国語を操りながら、持ち前のコミュニケーション能力も相まって、どんどん接客の楽しさにのめりこんでいきます。
「フィリピン人のお客さまは、タガログ語で接客すると喜んでいただけますし、タガログ語を喋った瞬間にギューッとハグされることもあります。あとは、言葉の最後に“ポ”って入れると日本語の“です・ます”のような意味になるので、例えば“ありがとうございますポ”とかでも『礼儀正しい』と言われて、一気に距離が縮まることがあります」

「先日は、2年ほど前に来店されたタイ人のお客さまから『いつ出勤ですか?●日頃に行くんですけど』とご連絡をいただいたので、全部出勤します!いつでも来てください!とお応えしました。日本国内だけでなく世界中のお客さまが自分に会いに来てくれることが本当に嬉しいので“シフト上はお休みの日でも接客だけして帰る”なんてこともあります」

「男性のお客さまで『プロポーズのためにバッグをプレゼントしたい』という方が来店されたので、僕はMarc Jacobsじゃない方がいいんじゃないですか?って正直に言ったんです。そしたら『素直に言ってくれてありがとう!気に入った!』と言ってくださって、そのまま2時間くらいプロポーズのシチュエーションなど色々な話をしていたら、いつの間にか沢山購入してくださっていました。後日、お客さまが『成功したぜ!』と奥様を連れて報告に来てくれたのが嬉しかったです」

当の本人は知ってか知らずか、息を吸うように心の距離を縮めていく小長井さん。プライベートで一人の時間を過ごそうとしても、いつの間にか知らない誰かと関わってしまうといいます。
「休日に絶対に一人で過ごそうと思ってカフェに行くことがあるんです。それで一人で抹茶ラテとかを飲んでいても、お店の方と仲良くなって話をしているうちに、他の方が会話に入ってきたり、逆に僕の方から話を振ったりして。やっぱり人に興味があるので色々と質問してしまうんです。気がつくと知らない人たちと4〜5人で『飲みに行こう!』ってなることが多いです」

「近所のコンビニで働いているおばちゃんとも仲良くなってお年玉をもらったり、よく行く飲食店の方からはお味噌汁をサービスしていただいたり、本当に周りの人たちに恵まれているなと思います」
もっと、ずっと人と関わり続けていきたい
自らの接客スタイルを貫き、結果を出し続ける小長井さんは、どんな未来を思い描いているのでしょうか。後輩の“教育係”を務める現在と、将来のビジョンについて話を聞きました。
「後輩スタッフからはよく『何でそんなに質問が出てくるんですか』と聞かれるので、会話の引き出しを増やす方法を教えています。僕が考えたのは、1分間イエスとノーで終わらない質問をする練習です。例えば“ご出身どこですか?”という質問から”どんな場所が有名ですか?”と広げて“何がオススメですか?”といった感じで、会話を膨らませるノウハウを伝えています」

「自分が接客をする時に気をつけているのは、お客さまの顔色を見極めることです。あまり話をしたくない方も勿論いらっしゃるので、最初にお声がけした時の反応に気をつけています。それから、一度接客をした相手のことは絶対に忘れないように、服装や髪型、会話の内容など細かくメモをとっています。お客さまに対して押し売りみたいなことはしたくないので“正直な接客”で『こいつの接客すごいな』『めっちゃ素敵な接客だな』と思われる人になりたいと願って、日々努力を続けています」

「本当に僕はずっと人と関わりたいと思っています。それこそ今は新人教育を担当していますが、売り上げに伸び悩むお店に行って接客を教えるような環境があれば挑戦してみたいです。お客さまと楽しい時間を共有して仲良くなる。次につながる接客をすれば必ず実績が付いてくる。長年の接客経験から得た知識と経験を伝えて、他のスタッフがお店の売り上げに貢献できるように育てていく。チーム全体が成長することで、お客さまに最高のお買い物体験をご提供できるように努めていきます」
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