お互いへの信頼から「また来たい」が生まれる

STAFF STORY #2

小林 大輔さん Ace Bags & Luggage

Jun 7, 2024

どこのショップで買い物をしようか迷った時に「あの店員さんとのやりとりが面白かったから、また行ってみようかな」なんて思った経験はありませんか?御殿場プレミアム・アウトレットで働く人の、知られざる素顔にフォーカスする「STAFF STORY」。第2弾となる今回は、販売の仕事に携わり20年のベテランスタッフを紹介します!

「接客にしても店舗管理にしても、コミュニケーションから生まれる信頼関係というのが仕事をするうえで一番大事だと思っています」

真っ直ぐな眼差しで、自身の考える仕事哲学について教えてくれたのは「エース バッグス&ラゲージ」店長の小林大輔(こばやし だいすけ)さん。もともと極度の人見知りだったにも関わらず店長にまで上り詰め、さらにはショップスタッフの有志が運営する「CS(顧客満足度)向上委員会」の活動も行っています。プライベートでも大きな転機を迎える中、今の思いを聞きました。

2人で話し合って決めたユーモアあふれる結婚記念日

「11月11日に入籍します。語呂も1111で良いですし、仕事が忙しくて記念日を忘れてしまうこともあり申し訳ない気持ちがあったので、忘れないようにポッキーの日にしたんです。僕が提案して、2人で話し合って決めました」

このインタビューの翌週2023年11月11日。いつまでも大切な記念日を祝い続けられるようにと、絶対に忘れない日に婚姻届を提出した小林さん。奥様の人柄について聞くと「とても気遣いができて優しい方。美味しいものや綺麗な景色を共有したいと思える人です」と少し照れながらも真剣に答えてくれました。

現在は2人とも御殿場プレミアム・アウトレット内で働いているため、仕事が終わるタイミングが合う日は一緒に帰ることが多いといいます。そんな小林さんが一番好きな場所は、奥様と駐車場に向かうための待ち合わせをする橋の上です。

「仕事が終わった後に天気が良いと、富士山の下に御殿場の市街が見渡せます。街の明かりがとてもキレイで、周りには山があって紅葉が見え、四季によっても景色が変わります」

楽しい買い物時間を過ごしてもらうために

新たな家庭を築くにあたり「今以上にしっかりしないといけないなと思っています」と意気込む小林さん。接客の際に心掛けていることの一つは「インパクトを残すこと」だといいます。

「アウトレットのお客さまは買い物だけでなく、エンターテイメント性も求めている方が多いと思います。なので会話の中で、笑ってもらったり喜んでもらえたりするように盛り上げることは常に徹底しています」

仕事で使うリュックの容量を気にするお客さまには「少年誌が丸ごと入りますよ。そこまで分厚いパソコンは使ってないですよね?」と冗談まじりのアドバイス。修学旅行で長崎へ行くためのスーツケースを探す学生には「『カステラが入るかな?』と言っていたので『カステラは30本くらい入りますね』と笑いをとりました。そうするとやっぱり戻ってきてくださるんですよね。面白かったからって」

そしてもう一つ、接客で大切にしているのが「信頼関係をつくること」です。ある日、撥水性が高く、長持ちするバッグを探しているお客さまが来店し、商品の一つに興味をもたれました。しかし、それは3年ほどでコーティングが剥がれてしまう商品だったため、小林さんは正直にそのことを伝えたといいます。

「接客していると良い部分だけ話しがちだと思うのです。ただ、それだけだとお客様からの信頼は得られないと思う。ちゃんとデメリットの話しもしたうえで、メリットをお伝えして、ご納得いただくということを徹底しています。必ず気分良く帰って頂けるように、信頼して買って頂くことが接客をしていて嬉しいところですね」

人見知りの自分を支えた一通の手紙

今でこそ、お客さまとの会話を楽しんでいる小林さんですが「大学を卒業後に百貨店の販売員として接客の仕事を始めたばかりの頃は、日々辛い思いをしていました」といいます。

「正直、めちゃめちゃ人見知りなのです。なかなか人と話せないところが実はあります。『接客業で人と話せるようになりたい』という思いで入ったんですけど、最初の1年目は、お客さんに声をかけることも全然できなかったです」

先輩スタッフからは「毎日のように『何で人見知りなのにこの仕事に就いたんだよ』って怒られていました」という小林さん。その当時お客さまから届いた一通の手紙が、挫けそうな心を支えてくれたといいます。

「まごまごしながらも一生懸命接客をして『その姿に感動した』ということで、お褒めのお手紙を頂きました。『接客は全くうまくなかった』って書かれていたんですが『すごく誠意が伝わった』と。誠意を込めた接客をすれば気持ちが伝わるというところに感銘を受けまして、接客をして一人でも多くのお客さまに喜んでもらいたいという思いで続けているところがあります」

“対話力”がつくる特別な買い物空間

その後、いくつかの店舗を渡り歩き、小林さんは御殿場に来て初めて店長を任されることとなりました。「商品の数や種類を集めるための本社との交渉が一番のメインになりました」と話すように仕事の内容が大きく変化したといいます。

「商品のバリエーションを常にキープしておきたいのと、他店にない商品をしっかり集めて、お客さまの期待を超えたいと思っています。無理難題を僕の方から本社の営業担当に伝える際は、聞いていただけるように努力しています。今はメールでのやりとりが主になるところを、あえて電話で会話をするなどコミュニケーションを深めています。まわりとのつながりは必要だと店長になってから改めて気づきました」

より品揃えが充実した買い物空間を作るために、本社の営業担当と衝突することも少なくなかったという小林さん。何度もコミュニケーションを繰り返すことで「今はお互い信用して、やり方は違ってもゴール地点は一緒なので、同じ目標に向かって進んでいる状態です。やっぱり信頼関係というのは僕は一番大事だと思っています」と思えるまでの関係になりました。

現在、小林さんはエースの店長を務める傍ら、系列のほかの2店舗もエリアマネージャーとして従事しています。数多くの業務をこなす中、ある意外な特技で自分の頭の中を整理していました。実際に見せてもらうようお願いすると、カバンの中から出てきたのは…

「常に持ち歩いていて今日も持っているのですが、仕事で疲れていて頭がこんがらがっている時などにルービックキューブをやります。3分くらいで揃えられるので、そうすると一個のことに集中してゴチャゴチャ考えていたことがリセットされるのです」

「良い思い出になった」と言ってもらえる場所を目指して

御殿場プレミアム・アウトレット内のショップスタッフの有志が運営する「CS(顧客満足度)向上委員会」の活動も行っている小林さん。ショップ間の横のつながりを深め、アイデアを出し合いながら、お客さまへのホスピタリティ向上を図っています。

「CS向上委員会はずっと続けていきたいと思っています。お客さまに喜んでいただける環境、従業員が働きやすい環境をみんなでしっかり考えて、少しでもお客様が『楽しかった』とか、『良い思い出になった』と感じてもらえる力になりたいですし、自信をもって『御殿場プレミアム・アウトレット良いよ!』と言えるように、細かい部分でも携われるように頑張っていきたい。ただ店舗で働くだけではなく、施設に貢献するということも含めて、まとめて全部僕の中では仕事です。」

ただでさえ多忙を極めるにも関わらず、あえて本来の業務とは異なる活動にも取り組む小林さん。そこには、販売の仕事に携わり20年のキャリアが導き出した一つの答えがありました。

「自分のお店で喜んでもらうのは当たり前ですが、自分のお店のことだけ考えていてはいけないと思うのです。施設に来ていただいて初めて自分の店につながってくるので、来ているお客さま全員におもてなしが出来るようにしたいと思っています。例えば雨の日に、お客さまが他のショップで買われた商品にもビニールをかけるよう心がけています。他店で買われていても大切なお客さまなので。同じような気持ちを持つ店舗が増えていけば、もっとお客さまに『また来たい』と感じてもらえるかも知れない。お店単体ではなくて施設全体として頑張っていきたいと思っています」